第4章 手を繋ぎたい
「ふふっ」
「……笑うな」
「ごめん。でも、脹相がそんなことで悩んでるの、ちょっと可愛くて」
「可愛い……?」
納得いかない、と言いたげな顔。
それでも耳が少し赤くなっている。
「じゃあ、繋ぐ?」
私が手を差し出す。
脹相はその手を見つめた。
まるで、とても大切なものを渡されたみたいに。
「……いいのか?」
「恋人なんだから、いいんじゃない?」
「……そうか」
ゆっくりと、その手を握る。
いつもと同じはずの温度。
いつもと同じはずの感触。
それなのに、握った瞬間、脹相の指に少しだけ力が入った。
「……」
「脹相?」
「いや」
彼は前を向いたまま、私の手を握っている。
「……嬉しいと思っているだけだ」
「そっか」
「ああ」
それからしばらく、二人とも何も言わなかったが、手だけはずっと繋いだままだった。