第33章 ガチャガチャ
その日の夜。
私は机の上に二匹のクマを並べていた。
ピンクと白の、優しい顔をしたクマ。
そして、黒と紫の、目つきの悪いクマ。
「ふふ……」
可愛い二匹を並べて眺めていると
そんな私の隣に、脹相がやってくる。
「……」
机の上の二匹を見る。
「……」
そして、ピンクのクマを見つめる。
「……やっぱり」
「ん?」
「これ」
脹相がピンクと白のクマを指差す。
「お前に似ている」
「え?」
思わず脹相を見る。
「初めて見た時から、そう思っていた」
「……私に?」
「ああ」
脹相は少し考えるように、クマを見る。
「柔らかい感じがする」
「……」
「優しい顔をしているし」
「……脹相」
「なんだ?」
「そういうこと、さらっと言うのずるい」
「……?」
本気で分かっていない顔をする脹相。
私は照れながら、ピンクのクマをそっと撫でる。
「じゃあ、この子は私ね」
「そうだな」
そして私は、黒と紫のクマを隣に並べる。
「じゃあ、こっちは脹相」
「……俺はそんなに目つきが悪いか?」
「ふふっ」
「……」
少し不満そうな顔をしながらも、脹相はクマをどかそうとはしなかった。
むしろ黒いクマを、ピンクのクマのすぐ隣まで寄せる。
「……こうしておけばいい」
「うん」
「離れないように」
「……うん」
私は嬉しくなって、脹相の肩に寄りかかる。
机の上には、二匹のクマ。
優しい顔のピンクと白。
目つきの悪い黒と紫。
まるで私たちみたいに、ぴったり隣り合っていた。
「……なあ」
「ん?」
「俺は本当に、あんなに目つきが悪いのか?」
「まだ気にしてるの?」
「ああ」
「ふふ……」
私は脹相の顔を覗き込んで、くすっと笑う。
「そこがいいの!」
「……」
脹相は黙り込んだ。
けれど、その耳は少し赤かった。