第32章 体調不良
扉が閉まる。
「……」
脹相は玄関に立ったまま、しばらく動かなかった。
手元には、あなたが好きなものばかり入った袋。
それだけなら、素直に感謝できる。
だが、先ほどの言葉が頭から離れない。
『今は、お前がいる』
――俺が恋人だから。
俺ががそばにいるなら、それでいい。
恵はそう言って帰った。
嫉妬する理由を、綺麗に取り上げられたような気がした。
「……ずるいな」
小さく呟く。嫉妬したい。
けれど、あんなふうに言われてしまえば、感謝するしかない。
しばらくして、脹相は袋を持ってのところへ戻ってくる。
「……?」
彼女はソファから顔だけを上げた。
「誰だったの……?」
「伏黒だ」
「恵?」
「ああ」
手に持っていた袋を見せる。
「お前に、と」
「え……?」
中を覗く。
「フルーツ……グミ……ゼリー……オレンジジュース……」
見覚えのあるものばかり。
「なんで……?」
「お前が好きだからだそうだ」
「……恵、覚えてたんだ」
私が嬉しそうに笑うと、
その笑顔を見て、脹相は少しだけ複雑になった。