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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第32章 体調不良


その日は朝から、どうにも身体が重かった。
熱があるわけではないけれど、何をするにも億劫で、
私はソファに横になったまま動けずにいた。

脹相が何度も様子を見に来てくれる。

「水は飲めるか?」

「うん……」

「何か食べたいものは?」

「今はあんまり……」

「そうか」

心配そうに額へ手を当てる。

「無理に食べなくていい。何か欲しくなったら言ってくれ」

「ありがとう……」

そうしていると…ピンポーン。と玄関のインターホンが鳴った。

「俺が出る」

脹相が立ち上がり、玄関へ向かい、扉を開ける。

「……伏黒?」

「よ」

そこに立っていた恵は、片手に大きめの袋を下げていた。

「どうした?」

「これ」

恵が袋を差し出す。

「あいつに」

脹相が受け取って中を見る。
カットされたフルーツ、グミ、飲むゼリー。
そしてオレンジジュース。

「……」

「食欲なくても、これならいけるだろ」

「……ああ」

「ゼリーとか。あと、グミ好きだから」

脹相が一瞬、袋の中身から恵へ視線を戻す。

「……よく知っているな」

「昔から見てるからな」

恵は淡々と言う。

「じゃあ、俺は帰る」

「……待て」

「ん?」

「寄っていかないのか?」

恵は少しだけ家の中を見る。

「寝てるんだろ?」

「ああ」

「ならいい」

「顔を見ていけばいいだろう」

「……いや」

恵は首を振った。

「今は、お前がそばにいるだろ」

「……」

脹相が黙る。

恵は続ける。

「だったら、俺が行っても邪魔になるだけだ」

「邪魔などとは――」

「そういう意味じゃねぇよ」

恵が少しだけ目を細める。

「あいつが今、誰にいてほしいかくらい分かる」

「……」

「俺は幼馴染だから、昔からあいつのことは知ってる」

 一度、袋を見る。

「でも今は、お前がいる」

 その言葉に、脹相の目がわずかに揺れる。

「だったら、俺が心配して来たところで、お前がそばにいるなら十分だ」

「……」

「だから、ちゃんと見ててやれよ」

それだけ言って、恵は踵を返す。

「伏黒」

「ん?」

「……ありがとう」

脹相が言うと、恵は少しだけ振り返る。

「別に」

「いや」

脹相は袋を持ち直す。

「助かる」

「ならよかった」

恵はそれだけ言って帰っていった。

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