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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第31章 欲求不満なのか



「…………」

暗い天井に静かな部屋。

夢だった。しばらく瞬きをした後、隣を見る。

「…………」

そこには彼女が眠っている。

いつも通り、布団にくるまり、穏やかな寝息を立てている。

「…………」

脹相は大きく息を吐いた。

「……夢か」

ほっとした。本当に。
何も起きていない。
彼女は何も知らず、隣で眠っている。

「…………」

脹相はしばらく彼女を眺める。
寝顔は穏やかだ。夢の中とは違う。

当たり前なのだが

「…………」

脳裏に、さっきの夢が蘇る。

近すぎた顔。自分を見下ろす彼女。

「……っ」

脹相はそっと顔を背けた。

「……何だったんだ、今のは」

眠っている彼女には聞こえない。

「…………」

もう一度、彼女を見る。

「……本当に、何もしていないな」

寝ているのだから当然だ。

「…………」

脹相は布団を少し引き上げる。

「……困ったな」

何が困るのか、自分でも分かっている。

夢だったことには安心した。
彼女がいつも通り隣にいることにも安心した。

だが夢の中で感じたあの距離の近さだけは鮮明に残っている。

「…………」

眠れない。

脹相は静かに天井を見る。
隣では彼女が寝返りを打つ。

そして

「ん……」

無意識に、脹相の方へ少しだけ寄ってくる。

「…………!」

脹相が固まるのも知らず彼女はそのまま眠っている。

「…………」

脹相は目を閉じた。

――夢より、こちらの方が困る。

そう思いながら。

結局その夜、脹相はなかなか眠れなかった。
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