第31章 欲求不満なのか
夢を見ていた。
いつもの部屋にいつもの夜。
ただ一つ違うのは
「……脹相」
目の前に彼女がいる。
いや。近い、近すぎる。
気づけば俺はベッドに仰向けになっていて、その上に彼女が跨っていた。
「…………」
何が起きている。
そう思う間もなく、彼女が顔を覗き込んでくる。
「どうしたの?」
「……どうしたの、ではない」
声が妙に低くなる。
「お前こそ、何をしている」
「何って……」
彼女が不思議そうに首を傾げる。
その仕草すら鮮明で脹相は視線を逸らそうとする。
だが。
「こっち見て」
「…………」
両手を取られ、逃げられない。
「脹相?」
「……何だ」
「顔、赤いよ」
「…………」
そんなことを言われても、どうしろというのだと内心思う。
距離が近すぎる。
彼女の顔が、声が、体温が、全部、分かってしまう。
「ねえ」
「……」
「どうしてそんな顔してるの?」
「…………」
答えられるわけがない。
そんなことを考えているうちに彼女がさらに顔を近づけて
「……っ」
脹相は勢いよく目を開けた。