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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第29章 乙骨憂太とタオル


「……」

校門の方から、こちらへ歩いてくる人影が見えた。

「……あ、脹相だ」

私は嬉しそうに手を振る。

脹相もこちらに気づいて、歩いてくる。

けれどその視線は、私ではなく、憂太が持っているタオルに向いていた。

「迎えに来てくれたの?」

「ああ」

脹相は私の隣まで来るなり憂太を見る。

「乙骨」

「脹相さん。お疲れさまです」

「……ああ」

どこか妙に低い声。
私は気にせず笑った。

「憂太にタオル貸してたんだ。すごい汗かいてたから」

「そうか」

「明日洗って返すよ」

憂太がタオルを見ながら言う。

「あ、うん。別に急がなくていいよ」

「ありがとう」

そこで、憂太が何気なくタオルを鼻元へ近づけた。

「……あれ?」

「どうしたの?」

「このタオル、君の匂いがする」

「え?」

私は自分のタオルを見つめる。

「まあ、私のだからね?」

「うん。なんか……いい匂いだね」

「そう?」

「うん」

二人とも、それ以上の意味など一切考えていなかった。

ただの会話であり、ただの感想。
少なくとも、私と憂太にとってはそうでしかなかった。

「……」

隣から、妙に静かな気配がする。

「脹相?」

「なんでもない」

「?」

脹相はゆうたの手にあるタオルをじっと見ていた。

「……明日、返すのか」

「うん。洗って返すよ」

「洗わなくていい」

「え?」

「俺が洗う」

「脹相が?」

「そうだ」

「でも、憂太が使ったタオルだよ?」

「だからだ」

「??」

私は首を傾げる。
憂太も同じように首を傾げていた。

「……じゃあ、お願いします?」

「……ああ」

なぜか勝ち誇ったような顔をする脹相。

私はますます意味が分からない。
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