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②呪術廻戦〜脹相と恋人〜

第27章 意外と淡白


「…………」

そして。

「……早い」

ぽつり。

自分から離したわけではない。

むしろ、もう少し抱きしめていたかった。

あと少しだけ。せめて、もう一度くらい「大好き」と言ってほしかった。

「……満足した、か」

さっきの言葉を思い出して、脹相は少し寂しそうに眉を下げる。

だが、恋人が学校へ行った以上、自分もいつも通りに過ごせばいい。

そう思った。

――思ったのだが。

時計を見る。

「……まだ八時半か」
と、朝食を片付ける。

時計を見る。

「……九時」
と、洗濯物を畳む。

時計を見る。

「……九時半か」
落ち着かない。
何をしていても、時計が気になる。

スマートフォンを手に取って、メッセージを確認する。
当然、まだ何も来ていない。

「……授業中か」

そっとスマートフォンを置く。

数分後。

また手に取る。

「……」

何もない。

「…………」

今度はテーブルに置いて、少し離れたところから眺める。
まるで、それなら通知が来る気がするとでもいうように。

昼。
昼食を食べながら、ふと呟く。
「……今頃、何を食べているんだろう」

一人分の食卓。
いつもなら気にならない静けさが、今日は妙に広く感じる。

朝の抱擁を思い出す。
腕の中にいた感触。
柔らかな髪。

「……」

脹相は自分の腕を見る。

「……もう少し、抱きしめておけばよかった」

だが、あまり長く引き止めて学校に遅刻させるわけにもいかない。
恋人がちゃんと学校へ行けたことは嬉しい。

嬉しいのだが。

「……早く帰ってこないだろうか」

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