第4章 ゴースト退治
「……っよかったぁ」
腰から力が抜けてしまって立っていられなくなり、グリムちゃんを抱えたまま、その場へとしゃがみ込む。
心臓が早鐘みたいに鳴っているのを感じる。
今になって、自分もあんなに怖かったのだと実感した心地だった。
きっと私の代わりに戦ってくれるグリムちゃんを応援することで、自分自身も鼓舞していたのだろう。
怖がってる場合じゃない。この場所も、命も失えないって。
「な、なんだオマエ、どうしたんだ?」
「腰が抜けちゃったわー……」
はぁ~~、と溜息を吐きながらグリムちゃんをぎゅう、と抱きしめる。
本当は、ずっと怖かったのだ。
ゴーストも。追い詰められた状況も。
もしグリムちゃんがいなかったら、どうなっていたのか分からないという事実も。
こんな異世界で、もしも死んでしまったら、家族に会えないまま終わってしまったらどうしようって……ずーっと怖かった。
「ぷぷっ!さっきまでオレ様に偉そうに『右よー!』『左よー!』とか言ってたクセに!情けないヤツなんだゾ」
「ふふ……そうねぇ。だって、お化けなんて初めて見たんだもの」
でも、怖かったのはお互い様でしょー?と言うと「そ、それは違うんだゾ!オレ様、ちっとも怖くなかったもんね!」と慌てた声で否定される。
そうだったわねぇ、なんて。
のんびり笑って頷きながら、抱えたグリムちゃんを膝の上に座らせて、その頭を撫でた。
ふと辺りを見回せば、廊下の壁や天井には青い炎が焼き付けた黒い焦げ跡がいくつも残っている。
火の玉が炸裂した壁に穴が空いていて、そこから入り込んだ雨が燃え残っていた火種へ降り注いでいた。
小さな音を立てながら青い火が次第に雨に呑まれて、ゆっくりと消えていく。
この様子なら、火事になることはなさそうだ。よかったぁ……。