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鏡の世界の×××

第2章 入学式




学園長先生に連れられて、再び戻ってきた鏡の間。

ナイトレイブンカレッジの入学式会場だったらしいここは、先程私と狸ちゃんが出会った部屋と同じだと思うのだけれど、なんだかまた少し違った雰囲気に包まれている気がした。
モスグリーンの炎を燈していたランプは、今は赤らんだ光を帯びた炎で部屋を照らしており、先程よりもずいぶん部屋が明るく見える。

そして、最もたる特徴は入学生で部屋が賑わっていることだ。

学園長先生が「特殊な鍵で扉を開くまで生徒は目覚めない」と言っていたので、きっとその『特殊な鍵』とやらで一斉にみんな起こされたのだろう。
どこを見ても、同じ出で立ちをした生徒さんが犇めいている。

夜の闇を生地に溶かし込んだような漆黒のローブ。
厚みのある生地は、しっとりと光沢を湛えていた。
足元近くまで届く長い裾は、重厚でありながらも軽やかな広がりを持ち、動くたび波紋のように生地がゆったりと流れて揺れる。
服の裏地が深い紫色をしているから、彩りのコントラストがシックでいて優美に纏っていて素敵だ。
金の刺繍による、二本の鍵がクロスした独特の模様も衣装を華やげるポイントになっている。

頭部には同じ色彩で統一されたフードを被っていて、そのシルエットはまさに古き良き魔法使いのそれである。
フードを被っているせいで顔の周囲に落ちた陰で顔が良く見えないのも、かえってミステリアスな雰囲気を高めていた。

華美だけれど、格式高い威光を秘めた服。
纏う人を優雅にも、誇り高くも見せる出で立ち。

このお洋服は、学園長先生曰く『式典服』と呼ばれる礼装で、由緒正しい名門たるナイトレイブンカレッジの長い歴史と伝統を象徴する代物なんだって。

そして、私が狸ちゃんに追いはぎされようとしていた理由も、まさにこの服が要因。

どうやら私は、寝る時に着ているパジャマ姿ではなく、この式典服に身を包んでいるらしい。
そして、この服を着ていることがナイトレイブンカレッジの生徒の証でもあったから、狸ちゃんは――目的はわからないけれど――学園の生徒に成りすますために私を追いはぎしようとしていたのだろう。

それにしても、仮に私から式典服を奪えていたとしてもサイズが全然合っていないのに……狸ちゃん、そこはよかったのかしらー。
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