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ずっと前から (降谷零/R18)

第9章 記憶




「はははっ。それはちょっと違うかな。君はまだ、僕のことを知らないから。」

「どういうこと?」

「記憶がないまま離れる選択肢なんて、僕にはない。」

「え…だって、さっき…。」

「どうしたいか、と聞かれたから考えていた。」

「なにを…?」

「君の記憶が戻らなかったときの僕の中の選択肢は2つだ。
一つ目は、最初からやり直すこと。
二つ目は、このまま結婚すること。」

「……ん?いまなんて?」

「『君の記憶が戻らなかったときの僕の中の選択肢は2つだ。
一つ目は、最初からやり直すこと。
二つ目は、このまま結婚すること。』」

「え!?ちょっと、いま全く同じこと二回言った!?」

「君が聞き返したからだろ?聞いてなかったのかと思ってもう一度言ったんだ。」

「聞こえてたよちゃんと。っていうかそこじゃないよね!?どう考えても…!」

「考え事に夢中で僕の話を聞いてないことがあるじゃないか。」

「……! 今は聞いてたよ!"なんて?"ってそういう意味じゃないからね?想定してなかった二択が飛び出したからっ…!」

「なんで想定してないんだよ。君も自分で『記憶がないまま一緒にいる』が選択肢の中にあったじゃないか。」

「んんん……たしかに…そうだけど……ん?だめだ、記憶がないせいかわけわかんなくなってきた。」

「何言ってるんだ。そこは記憶のせいじゃないだろ。」

「え。そうなの?」

「・・・。」

「え、黙らないで!?」

「とにかく。僕の中に離れる選択肢はない。もし君が離れるというなら、そのときは覚悟してくれ。」

「えぇ!?なにそれこわいよどういうこと!?」



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