【ごちゃまぜ】SHORT STORY【ヒロアカ】【鬼滅の刃】
第6章 あいつの1/3になってるが。【 爆豪勝己 】
新学期特有の、どこか浮ついた春の風が雄英の校門を吹き抜けていく。
(……はぁ。卒業しちゃったんだなぁ、ミリオ先輩)
窓の外で満開の桜が舞う廊下を歩きながら、は小さく息を吐いた。
学年に1人、お互いの利害が一致した特別な「関係」を置く――
それがの密かなルールだった。
3年生は経営科のイケメンと続いていて、こちらはお互い割り切ったスマートな付き合いを楽しんでいる。
そして、同級生の2年A組には言わずもがな、あの爆豪勝己がいる。
(勝己は……うん。セフレっていうか、たまに距離感バグるけど)
ともあれ、前3年生が抜けて「1人分」の枠がぽっかりと空いてしまったのは事実だ。
はルールに則り、新しく枠を埋めてくれる「都合のいい、でも最高の男の子」を物色することにした。
「……ちょっと覗いてみるか」
入学式が終わり、1年生の教室へと続く廊下。
は壁の陰から、真新しい制服に身を包んだ新入生たちが集まる1年A組の教室をそっと覗き込んだ。
「いい子、いるかなー……」
つぶやきながら、品定めするように室内を見渡す。
フレッシュな緊張感が漂う教室の中、の目にとまったのは――
まだ身体の出来上がっていない、けれどしなやかな筋肉を予感させる背格好の男子生徒。
あるいは、どこか大人びた視線を投げる、癖のあるイケメン。
「んー……あの子、筋が良さそう。性格も素直そうだし、教え込んであげたら可愛くなりそう……」
品性の欠片もない(けれど当人にとっては至極真面目な)妄想を膨らませ、の口元が自然と緩む。
ターゲットを絞り込もうと、さらに身を乗り出した、その時。
ぐいっ。
「――なにしてんだ、お前」
「っ!?」
後頭部から低く掠れた声が降ってくると同時に、制服の襟首を強めに引っ張られた。
首がキュッと締まり、はあられもない声を上げて後ろへ引き戻される。
振り向くまでもない。
この乱暴で、けれど絶対に拒めない圧倒的な体温と匂い。
「か、勝己……っ」
そこには、眉間に深いシワを寄せた爆豪勝己が立っていた。
赤い瞳が、凶悪なほど冷ややかにを見下ろしている。