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①呪術廻戦〜脹相〜

第76章 余韻に浸る


「……ずっと?」

「ああ」

「いつから?」

「それは……」

脹相が少し考える。

「分からない」

「分からないの?」

「あまりにも自然に、お前が俺の生活の中にいたからな」

「……」

「気づいたときには、もう大切だった」

その言葉が嬉しくて、私はまた俯いた。

「……私も」

「何がだ?」

「気づいたときには、脹相のことばっかり考えてた」

「……そうか」

「だから、好きな人がいるって聞いたとき……」

声が少し小さくなる。

「本当は、すごく嫌だった」

脹相が黙る。

「でも、脹相が幸せになるなら、それでいいって思わなきゃって」

「……」

「だから、諦めようとした」

「もういい」

脹相が静かに言った。

「え?」

「もう、そんなことを考えなくていい」

その声が優しくて、私は少しだけ目を潤ませる。

「……うん」

「俺がちゃんと言う」

「何を?」

「お前が不安になったときは、その都度」

脹相は私の手を取った。

「俺が好きなのはお前だと」

指が重なる。

「……何回でも言う」

「……ずるい」

「何がだ?」

「そんなこと言われたら、もっと好きになる」

「それなら、それでいい」

脹相の親指が、私の手の甲をゆっくり撫でる。
それだけなのに、以前とは全然違う。

今までと同じ人。
同じ部屋、同じ触れ方。

それなのに、今はそれが恋人としてのものなのだと思うと、胸がくすぐったくなる。

「……脹相」

「ん?」

「手、繋いでていい?」

「もちろんだ」

即答だった。

私は少し笑って、その手を握り直す。

「……幸せ」

「俺もだ」

しばらく、二人とも何も言わなかった。

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