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①呪術廻戦〜脹相〜

第76章 余韻に浸る



玄関の扉が閉まる音で、私はゆっくり目を開けた。

「……あれ」

「起きたか」

聞き慣れた声。

顔を上げると、すぐ近くに脹相の顔があった。

「……帰ってきたんだ」

「ああ」

「私、寝てた?」

「少しな」

脹相はそう言って、私を抱えたまま靴を脱ぐ。

「もう……降りるよ」

「本当に歩けるか?」

「うん」

「さっきもそう言ってふらついただろう」

「……」

反論できない。

結局、そのまま部屋まで運ばれ、ベッドの端にゆっくり下ろされる。

「ほら」

「ありがとう」

脹相が離れようとする。
けれど私は無意識に、その袖を掴んだ。

「……」

脹相が振り返る。

「どうした?」

「……あ、なんでもない」

そう言いながら、手を離さない。
自分でも不思議だった。

ほんの少し前まで、私は、脹相に触れないようにしていた。

目も合わせないようにして、甘えないようにして。
自分から距離を取って…それなのに今は、
脹相が離れていくのが嫌だった。

「……ねえ」

「なんだ?」

「さっきの、本当?」

「何がだ?」

「私たち……」

言葉にすると、また恥ずかしくなる。

「……恋人になったんだよね?」

脹相は一瞬だけ目を伏せたあと、しっかりと私を見る。

「ああ」

「……そっか」

胸の奥が、また温かくなる。

「恋人……」

小さく呟く。

「なんか変な感じ」

「俺もだ」

「脹相でも?」

「ああ」

「じゃあ、脹相も緊張してる?」

「……少し」

その答えがおかしくて、私は笑った。

「ふふ」

「笑うな」

「だって、脹相が緊張してるの珍しいから」

「お前のせいだ」

「私?」

「ああ」

脹相は少し困ったように私を見る。

「ずっと、こうなりたいと思っていたからな」

「……」

今度は私の方が何も言えなくなった。

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