第71章 誕生日パーティー
「……こっちに腕欲しい」
「ああ」
腕を回してもらう。
「もっと」
「これ以上か?」
「うん」
脹相が少しだけ腕に力を込めると、私は満足そうに、その胸元へ頬を寄せた。
「……安心する」
「そうか」
脹相は腕の中の私を見下ろした。
そして、静かに息を吐く。
「……帰るだけで、こんなに時間がかかるとはな」
けれど、その声音は困っているというより、どこか嬉しそうだった。五条に言われた。
――見張っててね。
確かに、その通りだった。
今の私を一人で帰らせるなんて、とてもできない。
「……明日になったら、何を覚えているんだろうな」
脹相はそう呟いて、眠っている私の髪をそっと撫でた。
今夜の私は、普段なら絶対に言わないようなことを何度も口にする。
好きだと、そばにいたいと。
けれど脹相は、それを自分への告白だとは受け取るわけにはいかない。
むしろ。「……酔っているからな」と自分に言い聞かせる。
だから今は、ただ隣にいる。
私が安心して眠れるように。
そして明日、私が何も覚えていなくても。
またいつも通り、そばにいればいい。
そう思いながら、脹相は私を抱いたまま目を閉じる。