第71章 誕生日パーティー
「……脹相」
「なんだ?」
「好き」
「…………」
脹相の動きが完全に止まった。
「……お前」
「んー?」
「今、何と言った?」
「好きって言った」
あまりにも自然だった。
脹相の心臓が、大きく跳ねる。
けれど私はそのまま、脹相の肩に頬を擦り寄せる。
「脹相、あったかい……」
「……」
脹相はようやく理解した。
――これか。
五条が言っていたのは。
子どもだから酒を飲むな、というだけではない。
この状態になるからだ。
普段よりずっと素直になって、距離が近くなって、甘えるようになるから。
「……なるほど」
脹相が小さく呟く。
「どうしたの?」
「いや……」
脹相は私を見下ろす。
そして、少しだけ困ったように眉を下げた。
「……五条の言っていた意味が、ようやく分かった」
「?」
「何でもない」
そう言って、脹相は私の肩を支える腕に少しだけ力を込めた。
「今日は俺のそばにいろ」
「うん」
即答だった。
「ずっと?」
「ああ」
「じゃあ、ずっといる」
私が嬉しそうに笑うのを見て、脹相は何も言わなかった。
ただ。
――これは、確かに見張っていないと危ない。
そう思いながら。
同時に。
――俺以外には、こんなふうになるな。
そんなことも、ひっそりと思っていた。