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①呪術廻戦〜脹相〜

第69章 誕生日


目が覚めたとき、いつもよりずっと静かだった。
カーテンの隙間から、柔らかな朝日が差し込んでいる。

「……ん」

まだ眠い。
いつもならもう起きる時間なのに、今日は身体が重い。

けれど、急かされることはなかった。
しばらくして、髪を撫でる感触がした。

ゆっくりと、優しく。

「……起きろ」

聞き慣れた声。

「……んー……」

「朝だ」

「もう……?」

「ああ」

目を開けると、すぐそばに脹相がいた。

「……おはよう」

「おはよう。誕生日おめでとう」

「……ありがとう」

まだ眠気の残る頭で笑うと、脹相はもう一度、私の頭を撫でた。

「……よく眠れたか?」

「うん」

「なら、よかった」

私はぼんやりしながら、その手の感触を思い出す。

――そういえば、前に言ったことがあった。

「朝はゆっくり寝てたいけど、起こしてもらうなら、優しく起こしてほしい」

そんな、何気ない会話をまさか覚えているとは思わなかった。

「腹は減っているか?」

「うん」

「なら、食べよう」

台所へ行くと、味噌汁の匂いがした。

焼き魚に、卵焼きと白いご飯。
そして、湯気の立つ味噌汁。

「……え」

「どうした?」

「朝から味噌汁……」

「食べたいと言っていただろう」

「……言った」

「だから作った」

何でもないことのように言う。
私は味噌汁を一口飲んで、思わず頬が緩んだ。

「美味しい」

「そうか」

「ありがとう」

「今日は、お前の願いを叶える日だからな」

「……願い?」

「ああ」

脹相は箸を置いて、真面目な顔で言った。

「今日、お前がしたいことは全部付き合う」

「全部?」

「全部だ」

冗談かと思った。

けれど。

朝食を終えると、本当にそうだった。

「ショッピングしたいって言っていただろう」

「え?」

「行くぞ」

「今日?」

「ああ」

店を回っている間も、脹相は文句一つ言わなかった。
私が悩めば待ってくれる。

「どっちがいいと思う?」

「お前が好きな方でいい」

「脹相は?」

「俺は、お前が嬉しそうにしている方がいい」

「……もう」

そんなことを真顔で言われると、なんだか照れる。
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