第68章 告白しよう
「……そいつも、お前のことが好きだと思う」
「え?」
「お前の話を聞いていれば分かる」
「そうかな?」
「ああ」
脹相は迷いなく頷いた。
「そいつは、お前のことをよく見ているんだろう?」
「うん」
「お前が無理していることにも気づく」
「うん」
「お前が寒そうにしていれば、上着を貸す」
「そう」
「危ないときには助ける」
「……うん」
「家族を大切にする」
「うん」
「不器用で、気持ちを言葉にするのが苦手」
「……そうだね」
「……それなら」
脹相が私を見つめる。
「そいつも、お前が好きだ」
私はしばらく黙っていた。
そして――
「……ないない」
「……」
「そんなわけないよ」
「なぜだ?」
「だって」
私は笑った。
「私のことを好きになるなんて、ないと思う」
脹相の顔から、ほんの少し表情が消えた。
「……そうか」
「うん」
「……分かった」
それ以上、脹相は何も言わなかった。
その夜。
自室に戻った脹相は、一人で腕を組んでいた。
――お前の好きなやつは、どんなやつなんだ?
最初は、告白するつもりだった。
〇〇が自分を好きなのではないか。
そう思い始めてから、ずっと考えていた。
だから今日、確かめたかった。
そして確かに、分かった。
私が話していた「好きなやつ」は、自分だ。
だが。
――ないない。
あの言葉が頭から離れない。
「……俺に好かれているとは、思っていないのか」
呟いて、脹相は眉を寄せた。
ならばどうすれば伝わる?
俺が彼女を好きだと言葉で告げるのが一番早い。
だが、それで私が困ったら?
今までの関係が変わってしまったら?
脹相はしばらく考えた。
そして何かを思いついたように顔を上げる。
「俺が好いていると分かるようにすればいい」