第67章 まだ先の話
朝、教室に入ると。
「〇〇、雑誌持ってきた!?」
「おはよう。持ってきたけど……」
鞄から白無垢姿の写真が載った雑誌を取り出す。
「見せて!」
「わぁ……!」
「やっぱり綺麗!」
みんなが机の周りに集まってくる。
ページをめくって白無垢姿の私を見ていく。
「これ、本当に○○?」
「そうだけど……」
「すごいね。めちゃくちゃ綺麗」
「ありがとう……」
少し恥ずかしくなってページをめくってもらう。
そして最後の方の私のお気に入り。
私が脹相の横顔を見つめて。幸せそうに笑っている写真。
「……」
「これ!」
友達が写真を指差す。
「この顔、すごくない?」
「え?」
「完全に好きな人見てる顔じゃん」
「……撮影だから!」
「でもさぁ」
「本当に撮影!」
そんなやり取りをしていると別の子が雑誌から何かを取り出した。
「ん?」
「これ何?」
一枚の紙。
広げてみる。
「……婚姻届?」
「えっ」
「雑誌の付録?」
「今時こんなの付いてるんだ」
そして一人が私を見る。
「ねえ」
「……何?」
「もしかして」
嫌な予感。
「もう籍入ってる?」
「…………え?」
「だって」
友達が雑誌の白無垢姿を指差す。
「白無垢着て」
「モデル!」
「好きな人を見る顔して」
「撮影!」
「じゃあ彼氏さんとはまだ結婚してないの?」
「してない!」
「本当に?」
「本当!」
「でも、〇〇って今年18になるでしょ?」
「……うん」
「じゃあ、もうすぐじゃん」
「だから!」
私は真っ赤になって婚姻届を取り上げる。
「結婚するなんて一言も言ってない!」
「ふふふ」
「もう!」
「じゃあ、誕生日にプロポーズされるかもね」
「されない!」
教室中に笑い声が響く。
私は顔を覆いたくなる。
「……本当に恥ずかしい」
「でも嬉しそうじゃん」
「嬉しくない!」
そう言いながらも少しだけ口元が緩んでいた。