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①呪術廻戦〜脹相〜

第66章 白無垢のモデル


「……」

――結婚、その言葉に脹相は少しだけ目を伏せた。

けれど先ほどの撮影で見た。
〇〇の白無垢姿を思い出す。

「……」

綺麗だった。
本当によく似合っていた。

だからいつか彼女が本当に誰かと結婚するとしたら。
きっと今日よりもっと綺麗なのだろう、そう思った。

「……」

胸の奥に寂しさが生まれる。
けれどそれ以上に、幸せになってほしいと思う。

誰と一緒になるとしても。
彼女が笑っていられるなら。

それでいい。

――そう思えるくらい。

〇〇のことが大切だった。

「……」

ただ、もし、ほんの少しだけ願ってもいいのなら。
その隣に立つのが自分だったら…そんなことを
一瞬だけ考えてしまう。

「……」

脹相は小さく息を吐いた。
欲張りな考えだと思う。

今の関係を壊したくない。
あなたとの時間を失いたくない。

だから今は、これでいい。

「……」

そう思い直したところで。
あなたが振り返った。

「脹相」

「……何だ?」

「さっきの写真、見た?」

「ああ」

「どうだった?」

彼女は少し照れながら聞く。
脹相は少しだけ考えて。

「……綺麗だった」

「本当?」

「ああ」

「白無垢?」

「それもだ」

「それも?」

「……お前が」

「……」

私は一瞬言葉を失う。

「……もう」

恥ずかしくなって視線を逸らす。

「そういうこと、さらっと言うんだから……」

「事実だ」

「……」

脹相はそんな彼女を見て、穏やかに目を細める。

そして、ふと今日撮った写真のことを思う。
自分の顔はほとんど写っていない。

けれど彼女が自分を見つめていた表情だけははっきり残っている。あの写真は大切にする。

いつか彼女が本当に誰かの隣で白無垢を着る日が来ても、今日のことはきっと忘れない。

「……」

でも今はまだこうして隣にいられる、それだけで十分幸せだった。

脹相は私の歩く速度に合わせてゆっくり歩き出す。

「帰るか」

「うん」

二人並んで歩く。
肩がほんの少しだけ近い。
触れそうで触れない距離。

脹相はその距離を守りながら、それでも彼女の隣を歩けることを静かに嬉しく思っていた。
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