第66章 白無垢のモデル
撮影が終わり着替えを終えた私は、
写真館のスタッフさんから渡されたデータを確認していた。
「こちらが今日の撮影分です」
「ありがとうございます」
画面を覗き込むと、一人で撮った写真、
五条と並んだ写真。そして脹相と撮った写真。
「……」
思わずそこだけ少し長く見てしまう。
脹相の顔はほとんど写っていない。
それでも自分がどんな顔をしていたのかは
はっきり分かる。
「……」
少し恥ずかしくなって私は画面を閉じた。
その隣で五条がにやにやしている。
「何?」
「いやぁ」
「……」
「いい写真だったね」
「……うん」
「特に最後のやつ」
「……」
私は少しだけ睨む。
「五条さん、一つだけ言っておくけど」
「うん?」
私は真剣な顔をして五条を見る。
「私が結婚する時に」
「……」
「『前見たからな~』とか言うの、絶対ダメだからね!」
五条が一瞬ぽかんとする。
「……」
そして次の瞬間。
「ぶっ」
吹き出した。
「ちょっと!」
「いや、ごめんごめん」
五条が肩を震わせながら笑う。
「だって」
「何よ!」
「それ、結婚する予定がある人の言い方じゃん」
「……!」
私は一気に顔が熱くなる。
「そういう意味じゃない!」
「はいはい」
「白無垢は今日撮ったから!」
「うん」
「だから将来、本当に結婚することになった時に」
「うん」
「『あれ? 前にも着てなかった?』とか」
「言わないよ」
「絶対?」
「絶対」
五条は少しだけ真面目な顔になって。
「そこはちゃんと分けるよ」
「……」
「今日のは仕事」
「うん」
「いつか本当に着る時は」
五条があなたを見る。
「その時は、その時でちゃんとお祝いする」
「……」
その言葉に私は少しだけ安心する。
「……ならいい」
「でも」
「何?」
五条の口元がまた悪戯っぽく上がる。
「今日より綺麗になるんだろうね」
「……」
「楽しみだなぁ」
「五条さん!」
「何?」
「だから!」
私は頬を赤くしながら。
「そういうこと言わないで!」
五条は楽しそうに笑う。
「はいはい」
その少し離れたところで脹相が二人の会話を聞いていた。