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①呪術廻戦〜脹相〜

第66章 白無垢のモデル


「あ、それと」

カメラマンが少し申し訳なさそうに言う。

「何枚か、彼の顔が写ってしまっているカットがあるんですが」

「……!」

私はすぐに反応した。

「脹相の?」

「はい、数枚だけですが」

「……」

さっきまであれほど「脹相の顔を世に出すのは嫌!」と言っていた私が数秒黙る。

そして脹相を見る。和装姿。いつもより少し整えられた髪。
綺麗な横顔。さっき撮影された写真。
その顔が写真として残っている。

欲しい。ものすごく欲しい。
雑誌には載せたくない。
他の人には見せたくない。

でも自分だけなら欲しい。
そんな考えが一瞬で頭を駆け巡った。

「……」

カメラマンが首を傾げる。

「もしよければ、データを何枚かお渡しできますが」

「お願いします」

即答だった。

「え?」

五条が振り返り、脹相も少し目を見開く。

「……」

私は自分でも驚くほど迷いなく。

「お願いします」

もう一度言った。

「顔が写ってるもの、いただけるんですか?」

「はい」

「全部……とは言わないですけど」

「何枚かお願いします」

「もちろんです」

カメラマンが笑う。

「では、選んでおきますね」

「ありがとうございます」

嬉しくなってつい笑顔になる。

「……さっきまで絶対ダメって言ってたのに」

「……」

私はゆっくり五条を見る。

「私が持ってるのはいいの」

「なるほど?」

「私が見るだけなら問題ないでしょ」

「まあね」

五条が面白そうに笑う。

「独占欲、強いねぇ」

「……違う」

「何が?」

「……」

私は少しだけ言葉に詰まる。

そして小さな声で。「……大事だから」と呟いた。

脹相がその言葉を聞いて静かに目を伏せる。

「……」

何も言わない。

けれどその耳が。
ほんの少し赤くなっていた。
五条はそれを見逃さない。

「……ふふ」

「五条さん?」

「なんでもない」

カメラマンが最後にもう一度モニターを見る。

「でも」

「はい?」

「本当にいい写真ですよ」

そこに映っているのは脹相の顔ではなく脹相を見つめるあなたの表情。

けれどその視線の先にいる人がどれほど大切なのか
写真を見れば誰にでも伝わる。

そしてその写真を誰よりも大切そうに見つめているあなたを見て。
五条は何も言わずに少しだけ笑った。
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