第66章 白無垢のモデル
撮影は思っていた以上に順調に進んでいた。
白無垢はやっぱり重くて動くたびに少し大変だったけれど
スタッフさんが丁寧に支えてくれるおかげで、
なんとか一つ一つのポーズをこなしていく。
「もう少しだけ顎を引いて」
「はい」
「そうそう。綺麗です」
シャッター音が何度もスタジオに響く。
「今度は少しだけ笑ってみましょうか」
「はい」
「いいですね」
カメラマンもスタッフも満足そうに頷いていた。
「本当に所作が綺麗ですね」
「ありがとうございます」
「白無垢、すごく似合ってますよ」
「……よかった」
少し恥ずかしくなって私は小さく笑った。
その姿をスタジオの端から
五条と脹相が見ている。
「……」
脹相は。
ずっと黙っていた。
白無垢姿のあなたから目を離せない。
普段とは違うけれどどこかあなたらしい。
その姿が脹相の胸の奥に静かに残っていく。
「……」
五条が。
そんな脹相を横目で見る。
「どう?」
「……綺麗だ」
「それしか言わないね」
「他に言葉がない」
「ふふ」
五条は。
それ以上からかわなかった。