第66章 白無垢のモデル
撮影現場の隅。
人の出入りが少ない場所に、脹相は五条と並んで立っていた。
「ここなら見つからないでしょ」
五条は周囲を見回しながら、軽い調子で言う。
「脹相はここにいて。僕はあっちに行くから」
「……ああ」
「邪魔しないように離れておくからさ! 僕のことは気にしないで、撮影に集中してよ」
「分かった」
そう言って、五条はスタッフに声をかけながら少し離れた場所へ移動していった。
残された脹相は、壁際に身を寄せる。
本当なら、ここに来るつもりなどなかった。
五条に「少し付き合ってほしい」と半ば強引に連れてこられただけで、何の撮影なのかも、詳しくは聞いていない。
ただ、あの五条が妙に楽しそうだったことだけが気になっていた。
そして――。
「それでは、お願いします」
スタッフの声が聞こえ、脹相が何気なく顔を上げたその瞬間。
「――……」
息が止まった。