第63章 文化祭の呼び込み
メイド服.エプロン、髪型。
普段とはまったく違う姿。
「……」
脹相の視線が、〇〇から離れない。
「どう?」
五条が聞く。
「……似合っている」
「でしょ?」
「……」
脹相は少しだけ眉を寄せる。
「だが」
「ん?」
「……あの格好で、一人で歩いているのは大丈夫なのか?」
五条が吹き出す。
「そこ?」
「人が多い」
「文化祭だからねぇ」
「……」
脹相は真剣だ。
「声をかけられている」
「人気者だね」
「……」
「そんな顔しないの」
五条が肩を叩く。
「恋人役なんだから、堂々としてれば?」
「……」
脹相は黙った。
そして、看板を持って歩くあなたを目で追う。
「……」
やはり落ち着かない。
その時。
「脹相!」
彼女が気づいて手を振った。
「!」
脹相の表情が変わる。
〇〇がそのまま駆け寄ってくる。
「見て!さっきメイド服着せられた!」
「……見れば分かる」
「似合ってる?」
「……ああ」
即答。
「本当?」
「ああ」
「よかった!」
嬉しそうに笑う。
脹相は一瞬言葉を失う。
「……」
「どうしたの?」
「いや……」
「?」
「……似合っている」
さっきより。
少し低い声。
「ありがとう」
彼女は笑ってまた看板を持ち直す。
「じゃあ、私もう一周してくるね!」
「ああ」
「また後で!」
「……ああ」
〇〇が去っていくと隣で五条が横でニヤニヤしている。
「顔、分かりやすいよ」
「何がだ」
「〇〇のメイド姿、気に入った?」
「……」
脹相は答えない。
五条は笑った。
「まあ、あの子可愛いし、分かるけどね」
そして。
しばらくして、脹相は、ふと看板を見た。