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①呪術廻戦〜脹相〜

第62章 脹相が私を気にし始めた


「おかえり、脹相」

高専に戻ってきた脹相を見つけて、私はいつものように笑った。

「ただいま」

「今日、任務だったんでしょ? 大丈夫?」

「ああ。問題ない」

「よかった」

それだけ言って、私は脹相の隣に並ぶ。

脹相はそんな私を見下ろした。

最近。

こうして隣に並ぶだけで、少し嬉しくなる。

以前なら当たり前だったことが。

今は一つ一つ、特別に感じてしまう。

けれど。

「……」

〇〇は何も知らない。

自分が俺にどう見られているのか。

何も知らないまま、いつも通りに接している。

「そういえばさ」

「なんだ?」

「この前、手握ってくれたでしょ」

脹相の足がほんの少し止まりかける。

「……ああ」

「またしてほしい時あるかも」

「……」

「人混みとかだと安心するし」

脹相は黙る。

――またしてほしい。

その言葉だけで、胸が熱くなる。

「分かった」

「ありがとう」

私はにこっと笑う。

そして。

何でもないように脹相の袖をつまんだ。

「じゃあ、今日も一緒に帰ろ」

「……ああ」

脹相の声が少し低くなる。

彼女は気づかない。

ただ。

「最近、脹相って優しいよね」

「……以前からだろう」

「そうだけど」

私は笑う。

「なんか最近、特に」

脹相は答えない。

――最近、特に。

それは、自分があなたを意識するようになったからだ。

けれどあなたにとっては
ただの変化にしか見えていない。

「脹相ってさ」

「なんだ?」

「私が甘えても嫌じゃない?」

「……嫌ではない」

「じゃあ、これからも甘えるね」

「ああ」

脹相は即答する。

私は満足そうに笑った。

「よかった」

その顔を見ながら。

脹相は思う。
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