第61章 あいつが俺を好きかもしれない
五条は目を細める。
「そっか」
「……だから怖い」
「怖い?」
「俺がそう思ってしまったら……今まで通りではいられない気がする」
「もう無理じゃない?」
「……」
「だって脹相、もう好きなんでしょ?」
脹相は黙った。
否定しなかった。
五条は笑う。
「本人には言わないんだ?」
「言わない」
「即答だね」
「あいつが自分から言うまでは……言わない」
「へえ」
「俺から答えを求めたくない」
「……うん」
「もし、あいつが俺を恋人としてではなく……ただの大切な人として見ているだけなら」
脹相は拳を軽く握る。
「それを壊したくない」
五条はしばらく脹相を見つめた。
そして。
「じゃあ、今まで通りでいいんじゃない?」
「……?」
「脹相が今まで通り、そばにいてあげればいい」
「……」
「手を握りたいなら、嫌じゃないか確認してから握ればいい。隣にいたいなら、隣にいればいい」
五条は少し笑った。
「好きって言葉にしなくても、できることはいっぱいあるでしょ?」
脹相は黙って考える。
「……そうだな」
「それに」
五条がニヤリとする。
「〇〇、脹相に甘えるの結構好きだと思うよ」
「……そうなのか?」
「うん。僕の勘」
「……」
脹相の表情が少しだけ緩む。
「なら……」
「ん?」
「もう少しだけ、そばにいてもいいのかもしれない」
「もちろん」
五条は肩をすくめた。
「ただし」
「なんだ?」
「本人が嫌がったら、すぐ離れること」
「当然だ」
「そこは即答なんだね」
「当たり前だ」
脹相はそう言って。
少しだけ考える。
「……五条」
「なに?」
「俺は……あいつに好かれていると思っていいのだろうか」
五条は一瞬だけ黙った。
そして。
「それは僕じゃなくて、〇〇に聞くことだよ」
「……」
「でも」
五条は笑った。
「少なくとも、期待するくらいは許されるんじゃない?」
脹相は俯いた。