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①呪術廻戦〜脹相〜

第60章 花火大会では少しだけ積極的に


夜空に、大きな花火が咲いた。

――ドンッ。

「わあ……!」

私は思わず空を見上げる。

「綺麗……」

隣に座る脹相も、同じように空を見上げている。

……はずだった。

けれど。

脹相の視線は、ときどき花火から外れ、隣にいる私に移る。

浴衣の袖。

風に揺れる髪。

花火の光に照らされる横顔。

そして、すぐ隣に置かれた、私の手。

「……」

脹相は、自分の手を見る。

今までならただ隣にいるだけでよかった。

けれど今は少しだけ近づいてみたい。

そんな気持ちがある。

再び夜空が光った。

――ドン。

その音に紛れるように。

脹相の手が、ほんの少しだけ動く。

指先が。

私の指に触れた。

「……?」

私はちらりと脹相を見る。

けれど、脹相は何も言わない。

ただ空を見ている。

そして。

――ドン、ドンッ。

連続して響く花火の音。

その間に。

もう一度、指先が触れた。

今度は離れない。

脹相はほんの少し迷ってから。

そっと。

私の指に自分の指を絡ませた。

「……脹相?」

「……」

一瞬だけ、指が止まる。

けれど。

そのまま、手を握った。

「嫌か?」

「……ううん」

私は少し照れながら笑う。

「嫌じゃないよ」

「そうか」

脹相は前を向いた。

平静を装っている。

けれど。

握った手には、わずかに力が入っていた。
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