第59章 花火大会
やがて脹相は木陰から出ると
〇〇がこちらへ向かってくる。
「……脹相?」
「迎えに来た」
いつもの声。
いつもの表情。
けれど。
今日は少しだけ違った。
「うん」
〇〇は嬉しそうに笑う。
「待っててくれたんだ」
「ああ」
「じゃあ帰ろう」
「ああ」
二人並んで歩き出す。
遠くでは、最初の花火が夜空に咲き始めていた。
けれど。
二人はまだ知らない。
この夜。
〇〇が「脹相と花火を見たい」と思っていたことも。
脹相が、〇〇の「好き」を全部聞いてしまったことも。
そして。
その二つが重なったことで。
今まで「恋人役」だった二人の関係が。
少しずつ、本物に近づき始めていることも