第58章 一般と高専の両方
――もし。
もし、その「いつか」の未来で。
あなたが誰かと家族を作るのなら。
その隣にいるのは、誰なのだろう。
考えた瞬間。
胸の奥が、ほんの少しだけざわついた。
「……」
脹相はその感情を押し込める。
今は、そんなことを考える必要はない。
「脹相?」
「なんだ?」
「静かになったけど、どうしたの?」
「……少し考えていただけだ」
「何を?」
脹相は一瞬、答えに迷った。
そして。
「……お前が、良い母になりそうだと思っていた」
「えっ」
今度は私が固まる。
「な、なんで急にそんな話になるの?」
「お前が話したのだろう」
「そうだけど……!」
顔が熱くなる。
脹相はそんな私を見て、不思議そうに首を傾げた。
「何か変なことを言ったか?」
「……変じゃないけど」
私は俯く。
「恥ずかしいだけ」
「そうか」
脹相は素直に頷く。
そして少しだけ間を置いて。
「……俺は、そういうお前が好きだと思う」
「…………」
言った本人は、そこで初めて自分の言葉に気づいたように目を瞬かせる。
「……」
「……」
二人の間に、沈黙が落ちる。
「……今の…は、心臓に悪いかも。」
私が恐る恐る顔を上げる。
「そうか」
脹相は珍しく、ほんの少しだけ困った顔をしていた。
けれど、その耳は、赤かった。