第58章 一般と高専の両方
「……お前は」
「ん?」
「まだ存在していない子のことまで、そこまで考えているのか」
「まだって……」
私は少し照れたように笑う。
「まあ、将来の話だから」
「……そうか」
脹相は前を向く。
けれど、胸の内には先ほどとは違う感情が生まれていた。
〇〇が「子ども」と口にしたとき。
一瞬だけ、未来を想像した。
〇〇が誰かの親になっている姿。
その子を守ろうとしている姿。
その子に、自分と同じように選ぶ権利を与えようとしている姿。
――強い人だと思った。
ただ強いだけではない。
自分が受け取ったものを、自分の次へ渡そうとしている。
しかも、それを押しつけるのではなく。
その子自身が選べるように。
「……お前らしいな」
「そう?」
「ああ」
脹相は少しだけ笑う。
「自分が苦労したことを、次の者にはさせたくないのだな」
「……うん」
「それでいて、自分の考えを押しつけるつもりもない」
「その子には、その子の人生があるからね」
「……」
その言葉を聞いて、脹相は胸の奥が温かくなるのを感じた。
そして同時に。
さっきから頭の隅に浮かんでいる、ある考えに戸惑っていた。