第58章 一般と高専の両方
「……一つ、聞いてもいいか?」
高専からの帰り道。
隣を歩いていた脹相が、ふと口を開いた。
「なぜお前は、普通の高校と呪術高専の両方に通っているんだ?」
「ああ、それ?」
私は少し笑った。
「五条さんが手配してくれたから」
「五条が?」
「うん。私が普通の道も、呪術の道も、どっちも選べるようにしてくれたの」
「……なぜ、そこまで?」
「私が自分で選べるようにしたかったんだって」
私は少し考えてから続けた。
「普通の高校に通って、普通の友達を作って、普通の生活をすることもできる。でも、高専で呪術を学んで、そのまま呪術の道に進むこともできる」
「では、お前はどちらを選ぶ?」
「普通の生活は……たぶん、できないかな」
「そうなのか?」
「うん」
私は苦笑する。
「どこかしら、何かしらで呪術には関わっていきたいと思ってる」
「なぜ?」
「呪術を後世に伝えていきたいから」
脹相がこちらを見る。
「後世に?」
「うん」
私は頷く。
「だって、今私たちが使っている術式も、知識も、呪具も、誰かが残してくれたものだから」