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①呪術廻戦〜脹相〜

第57章 初めては大体五条さん


「ねえ、五条さん」

「んー?」

任務の帰り道。

三人で並んで歩いていると、ふと思ったことがあった。

「私って、五条さんと過ごした時間、結構長いよね」

「結構どころじゃないよ」

五条は、ほとんど間を置かずに答えた。

「僕が育てたようなもんだからねぇ」

「育てたって……」

「だってそうでしょ?」

五条は楽しそうに笑いながら、指を一本立てる。

「初めてこの家に来たとき、誰が部屋を用意したと思う?」

「五条さん」

「正解」

二本目。

「初めて一人で眠れるようになるまで、誰が付き合った?」

「……五条さん」

「正解」

三本目。

「初めて任務に行ったとき、誰が装備の確認した?」

「五条さん」

「そう。しかも君、当時は忘れ物多かったからね」

「……それは言わないで」

「何回、僕が届けに行ったと思ってる?」

「……」

「初めて一人で任務に行かせた日だって、僕がどれだけ心配したか」

五条が、ふっと息を吐く。

「帰ってくるまで、ずっと気にしてたんだから」

「五条さん……」

「初めて怪我したときも僕が病院連れてったし」

「うん」

「初めて高熱出したときも看病した」

「うん……」

「初めて怖い夢を見て眠れなかった夜も、僕が隣にいた」

「……」

「初めて『もう大丈夫だから』って言われたときなんて、僕ちょっと感動したんだよ?」

五条は、いつものように笑った。

けれど。

その言葉には、長い年月の重みがあった。

「だからさ」

ぽん、と私の頭に手を乗せる。

「〇〇の初めては、だいたい僕なんだよ」

「…………」

「初めての『おはよう』も」

「……」

「初めての『ただいま』も」

「……」

「初めて誰かに頼ることを覚えたのも」

「五条さん……」

「初めて一人で泣かずに眠れた夜も」

「……」

「初めて自分から『ありがとう』って言った日も」

五条は、いつもの軽い笑顔を浮かべている。

けれど。

その目は、どこか懐かしそうだった。
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