第54章 呪いを受けて幼児化してしまった
「ちょうそう……」
「ん?」
「だいすき……」
眠たげな声でそう言いながら、私は脹相の服をぎゅっと握った。
「……」
五条は黙り込む。
「……これはこれで、困るなぁ」
口元が緩んでしまう。
「こんなに可愛いんだもん」
「五条」
脹相が苦笑する。
「早く元に戻ってほしいんじゃなかったのか?」
「そうだよ」
五条は即答した。
「ちゃんと元に戻ってほしい。心配だし」
そして、眠ってしまいそうな私を見つめる。
「……でもさ」
少しだけ寂しそうに笑う。
「もうちょっとだけ、このままでもいいかなって思っちゃうんだよね」
脹相は何も言わず、私の背中をゆっくり撫で続けている。
「昔はさ、僕が抱っこしないと寝なかったんだよ」
「そうなのか」
「うん。僕の服を掴んで、離さなくて」
五条は懐かしそうに目を細める。
「それが今は脹相にべったりだもんね」
「……」
「ちょっと寂しいけど」
そう言いながらも、五条の顔には嬉しそうな笑みが浮かんでいた。
「この子が安心して眠れるなら、それでいいや」
そして眠る私の頭を、そっと撫でる。
「……でも、元に戻ったらちゃんと僕のことも頼って欲しいかなぁ?」
返事はない。
ただ、私の寝息だけが静かに響いていた。
その翌日、体も記憶も戻った私は、小さくなっていた時間の記憶がなく、悠仁と野薔薇と恵に、残念がられてしまった。
遊んでいた時の写真を見せられ、私は恥ずかしくて、しばらくみんなの目を見れなかった。