第54章 呪いを受けて幼児化してしまった
夕食前、五条は家の女中に声をかけた。
「今日はこの子のお風呂、お願いしてもいい?」
「かしこまりました」
女中に手を引かれ、私は少し不安そうに五条を振り返る。
「ごじょさん……」
「大丈夫。ちゃんとここで待ってるから」
「……うん」
それを聞いて、ようやく安心したように女中についていった。
しばらくしてお風呂から戻ってくると、髪はふわふわに乾かされ、頬はほんのり赤くなっていた。
「おかえり」
五条が笑って迎える。
「……ごはん?」
「そう。お腹空いた?」
「うん」
食卓につくと、五条が私の前に座る。
「ほら、あーん」
「……あーん」
差し出された食事を素直に口に入れる。
「おいしい?」
「おいしい!」
「よかった」
五条は嬉しそうに、次の一口を運んでくれる。
その様子を少し離れたところから見ていた脹相が、ぽつりと呟いた。
「……悟は手慣れているな」
「そりゃそうだよ。小さい頃から面倒見てるからね」
「なるほど」
脹相は納得したように頷いた。
けれど、私が五条に「あーん」されている姿を見ているうちに、ほんの少しだけ羨ましそうな顔になっていた。