第52章 役目の交代
五条が帰ったあと。
私はソファに戻った。
隣では脹相がまだ何か考えている。
「どうしたの?」
「……いや」
「?」
「五条は、昔からお前を大切にしていたのだな」
「うん」
私は少し笑う。
「そうだよ」
脹相は黙る。
そして。
少しだけ私との距離を縮めた。
「……そうか」
「?」
「ならば、あいつに任せておく必要もないな」
「何が?」
「……何でもない」
脹相の手が。
今度は自然に私の頭へ伸びる。
ぽん。
「……?」
「何となくだ」
「ふふ、ありがとう」
脹相は答えない。
ただ。
自分でもよく分からない感情を抱えたまま。
静かに私の髪を撫でていた。
そしてその頃。
家を出た五条は。
「……抱きしめてあげるよ~、は普通に断られたなぁ」
一人で歩きながら。
ちょっとだけ悲しそうに呟いていた。
「……僕、保護者なのになぁ」
その声には。
ほんの少しだけ。
昔を懐かしむような寂しさが混じっていた。