第50章 泥酔
夜もかなり遅くなっていた。
「……遅いな」
私は時計を見る。
今日は五条さんが脹相を連れて出かけていた。
何をしに行ったのかは、詳しく聞いていない。
ただ。
「ちょっと脹相借りるね~」
と言っていたので、私は「分かった」と送り出した。
それから数時間。
帰ってこない。
「大丈夫かな……」
少し心配になって、スマホを見る。
連絡はない。
もう一度時計を見る。
そのとき。
玄関の外から。
何かを引きずるような音が聞こえた。
「……?」
扉を開ける。
「ただいま~」
「五条さん?」
そこにいたのは。
脹相を肩に担いだ五条悟だった。
「…………」
「…………」
私は固まる。
脹相も。
完全に酔いつぶれている。
頬は赤く。
髪は少し乱れていて。
五条の肩にぐったりともたれかかっている。
「……何したの?」
「ん?」
五条はにこっと笑う。
「飲んだ」
「誰が?」
「脹相」
「どれくらい?」
「んー……」
五条は少し考える。
「結構」
「…………」
嫌な予感しかしない。
「とりあえず、脹相置いていい?」
「う、うん」
五条が脹相をソファへ下ろす。
脹相はぐったりしたまま、かすかに呟いた。
「……お前……」
「ん?」
「……俺は……」
「はいはい、寝な」
五条が脹相の頭をぽんぽん叩く。
そして。
「じゃ、僕帰るね」
「待って」
私は五条の腕を掴んだ。
「……何?」
「こんなに飲ませないで!」
「えー」
「えーじゃない!」
「だってさぁ」
五条は悪びれずに笑う。
「腹割って話そうよ~って言ったら、結構飲んでくれたんだもん」
「五条さんは?」
「僕?」
「五条さんも飲んだんでしょ?」
「ちょっとだけ」
「……下戸なのに?」
「うん」
「なんで飲ませる側なの!?」
「僕は弱いから、ほぼ飲んでないよ」
「じゃあ脹相だけじゃん!」
「そうだね」
「そうだねじゃない!」
私は思わず頭を抱える。
五条は笑いながら、ソファで寝ている脹相を見る。
「でも、安心したよ」
「……何が?」
「脹相の気持ち」
「え?」
五条は少しだけ声を落とした。