第47章 プールは心配で見守りは必須
「……あれ?」
彼女がふとこちらを見る。
脹相が固まる。
「…………!」
慌てて木の葉の中に身を隠す。
「どうした?」
恵が聞く。
「なんか、今……木の上から見られてる気がした」
「気のせいじゃない?」
悠仁が笑う。
「そうかな……」
彼女は首を傾げる。
その真上。
脹相は息を殺している。
「…………」
心臓が妙に速い。
(……危なかった)
(バレるところだった)
しかし、双眼鏡だけは手放さない。
(……もう少しだけ)
(彼女がナンパされないか確認してから帰ろう)
――結局。
その日の脹相は、彼女たちが帰るまで木の上にいた。
彼女が笑えば安心し。
男性が近づけば警戒し。
悠仁と恵がそばにいれば、少しだけ気を緩める。
そして帰り際。
彼女が楽しそうに、
「今日は楽しかったね!」
と笑った瞬間。
木の上の脹相も、小さく笑った。
「……そうか」
そして双眼鏡をしまう。
「……楽しめたなら、それでいい」
帰宅後。
「ただいまー!」
「……おかえり」
彼女が脹相を見る。
「ねえ、今日ね――」
プールの話を楽しそうに始める。
脹相は静かに聞いている。
もちろん。
自分が木の上から全部見ていたことは、絶対に言わない。
「……そうか。楽しかったんだな」
「うん!」
彼女が笑う。
脹相はその顔を見て、満足そうに目を細めた。
(……可愛い)
そして心の中で、もう一つ。
(……次は、俺も一緒に行きたい)
そんなことを考えていた。