第46章 新しい水着を見て欲しい
彼女が部屋に戻ったあと。
脹相は一人、リビングに残っていた。
「…………」
静かだった。
先ほどまで目の前にいた彼女の姿が、頭から離れない。
新しい水着。
本人は嬉しそうだった。
「……似合っていた」
それは間違いない。
とても可愛かった。
だからこそ。
「…………」
脹相は腕を組んだ。
そして、眉間に皺を寄せる。
(……しかし)
あの水着で。
(……プールに行くのか)
当然だ。
水着なのだから、プールへ行く。
そこまでは分かる。
問題は――
(……他の男もいる)
悠仁や恵だけではない。
プールには当然、他にも人間がいる。
脹相の脳裏に、知らない男たちが彼女を見る光景が浮かぶ。
「…………」
眉間の皺がさらに深くなる。
(……あの水着で?)
「…………」
嫌な想像を振り払うように首を振る。
(いや。彼女は何も悪くない)
(好きな水着を着て、友人と遊びに行くだけだ)
分かっている。
頭では、ちゃんと分かっている。
「…………だが」
脹相は小さく呟いた。
(……他の男が見る)
そこまで考えたところで、妙に胸がざわついた。
彼女が悪いわけではない。
自分が勝手に気にしているだけだ。
「……俺は何を考えているんだ」
自嘲するように息を吐く。
彼女には彼女の自由がある。
それを自分が制限するつもりはない。
――それでも。
(……できれば、俺だけが見ていたい)
そんな考えが浮かんでしまう。