第45章 写真
「……あ」
「どうした?」
「脹相、私のこと見てる」
「……」
脹相も画面を見る。
「そうだな」
「撮る瞬間、こっち見てたの?」
「……たまたまだ」
「本当に?」
「ああ」
けれど。
実際には。
スマホを構えるあなたが可愛くて。
つい見てしまっただけだった。
そして。
あなたが見上げてくる。
その瞬間が。
脹相にはどうしようもなく好きだった。
「……」
「脹相?」
「もう一枚」
「また?」
「ああ」
「今度はちゃんとカメラ見てね」
「……分かった」
もう一度並ぶ。
けれど。
シャッターを押す直前。
あなたが脹相を見上げた。
「脹相」
「なんだ?」
「こうして撮ると、やっぱり身長差すごいね」
「……俺は好きだ」
「え?」
「この身長差」
脹相が少し屈む。
「こうして、お前が俺を見上げるのが好きだ」
「……」
その瞬間。
パシャ。
「……あ」
シャッターが切れた。
画面には。
少し照れたあなたと。
優しい顔であなたを見つめる脹相が写っていた。
「……これ、すごくいい」
「そうか?」
「うん」
私は嬉しそうに笑う。
「待ち受けにしようかな」
「……」
「脹相は?」
「俺も欲しい」
「送るね」
「頼む」
写真を送り終える。
脹相は自分のスマホに表示された写真を、しばらく眺めた。
「……」
「どうしたの?」
「いや」
「気に入った?」
「ああ」
脹相は素直に答える。
「かなり」
そして。
少しだけ照れながら。
「……また撮ろう」
「うん」
「今度は、もっとたくさん」
「ふふ。そんなに?」
「ああ」
脹相は写真を見つめる。
あなたが隣にいる。
それだけの写真。
けれど。
自分にとっては、それが何より大切な一枚だった。