第42章 黒パン
少しして。
〇〇がふと思いついたように言う。
「でも、黒パンって分かって安心した?」
「……ああ」
「なんで?」
「……」
脹相は少し迷ってから答える。
「俺が勝手に意識していたことが、恥ずかしいからだ」
「……」
今度はあなたが黙る番だった。
「……脹相」
「なんだ?」
「そういう正直なところ、ずるい」
「?」
「なんでもない」
私は顔を逸らす。
脹相もまた、少し赤い顔で視線を逸らした。
結局。
黒パンだと分かって安心したはずなのに。
その日の脹相は。
彼女が動くたびに、
「……また見えたらどうしよう」
と、妙に意識してしまうのだった。