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①呪術廻戦〜脹相〜

第42章 黒パン


「脹相、これ取って」

「分かった」

彼女に頼まれて、脹相が棚の上に置かれていた荷物を取ろうと手を伸ばす。

そのときだった。

〇〇が少し身を屈めた拍子に――

「……!」

脹相の視界に、一瞬だけ黒い布地がちらりと映った。

「…………」

時間が止まった。

脹相は慌てて顔を逸らす。

「……」

何も見ていない。

見ていない。

そう自分に言い聞かせる。

けれど。

「……脹相?」

「なんだ」

「どうしたの?」

「……いや」

明らかに様子がおかしい。

あなたが不思議そうに首を傾げる。

「顔、赤くない?」

「……暑いだけだ」

「今日そんなに暑くないけど」

「…………」

脹相は答えられない。

さっきの一瞬が頭から離れない。

――黒だった。

いや。

だから何だ。

服の一部だ。

そう思うのに、なぜか妙に意識してしまう。

「……」

すると彼女が気づいた。

「もしかして、見えた?」

「…………!」

脹相が固まる。

「ご、ごめん!」

「いや、謝る必要はない」

「でも……」

「俺が勝手に驚いただけだ」

「……?」

彼女は少し考えてから。

「ああ、なるほど?」

と納得したように笑う。

「黒パンだよ」

「…………」

「インナーショーツ」

「……黒パン?」

「あれ。スカートの中に履くやつ」

脹相は数秒黙った。

「……そうなのか」

「うん」

「…………」

さっきまでの動揺が。

一気に恥ずかしくなる。

「……俺は」

「うん?」

「何を考えていたんだ……」

「ふふ」

私が笑う。

「もしかして、普通の下着だと思った?」

「…………」

脹相は答えない。

「図星?」

「……」

「脹相、顔真っ赤」

「……言うな」

〇〇が楽しそうに笑っている。

「別に恥ずかしがらなくてもいいのに」

「お前は簡単に言うが……」

脹相はため息をつく。

「不意に見えれば驚くだろう」

「そっか」

「……そうだ」
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