第40章 散々なお見合い
「脹相に知られたら……脹相と今みたいに一緒にいられなくなるかもしれないから」
脹相の目が見開かれる。
「……」
「それが、嫌だった」
その瞬間。
胸の奥が強く鳴った。
「……そうか」
脹相は何とかそれだけ答える。
本当は。
抱きしめたいくらい嬉しかった。
お前も、自分と離れたくないと思ってくれている。
その事実が。
たまらなく嬉しい。
「……じゃあ」
脹相は少しだけ迷ってから。
「今日は、俺が迎えに来て正解だったな」
「うん」
「もう帰ろう」
「うん」
並んで歩き出す。
しばらくして。
〇〇が小さく呟いた。
「……でも、本当に最悪だった」
「そうか」
「脹相だったら、あんなこと言わないのに」
「……」
脹相の心臓が跳ねる。
「……俺なら」
少し間を置いて。
「お前の話をちゃんと聞く」
「うん」
「お前が大切にしているものを、否定しない」
「うん」
「それから……」
脹相は言葉を止める。
「……お前が嫌がることは、無理にさせない」
「……」
〇〇が嬉しそうに笑った。
「やっぱり、脹相に迎えに来てもらってよかった」
「……ああ」
脹相も小さく笑う。
けれど心の中では。
今日一日で一番強く思っていた。
――本当なら。
お前がお見合いなんて行かなくて済むようにしたい。
そのためにも。
いつか。
「恋人のふり」ではなく。
本物の恋人として。
お前の隣に立ちたい。
そんな願いを。
脹相は胸の奥で、そっと抱きしめていた。