第41章 くっつき虫の呪い
「……ねえ、〇〇」
「ん?」
「さっきから近くない?」
悠仁が困ったように笑った。
「そう?」
「うん。めちゃくちゃ近い」
私は首を傾げる。
自分では何もおかしいことをしているつもりはない。
ただ。
誰かのそばにいると、妙に安心する。
だから。
「……悠仁、ちょっとだけ」
ぎゅっ。
「うわっ」
彼女が悠仁の腕に抱きついた。
「〇〇!?」
「落ち着く……」
「え、何これ」
悠仁は慌てている。
「さっきからずっとこんな感じなんだけど……」
彼女は離れない。
「ねえ、悠仁」
「なに?」
「どうしよう。もう少しこのまま……でも、大丈夫?」
「いや、俺はいいけど……」
悠仁は困ったように周囲を見る。
どうやら、先ほど受けた呪いの影響らしい。
誰かに触れていないと落ち着かなくなる。
しかも。
「……」
悠仁がそっと離れようとすると。
「……どうしよう、やだ」
彼女が服の裾を掴む。
「うわ」
「行〜かないで〜」
「……分かった」
悠仁は諦めた。
けれど。
さすがにこの状態を一人で面倒を見るのは無理だ。
「……脹相に連絡しよ」
「脹相?」
「そう」
「なんで?」
「たぶん一番なんとかしてくれるから」
悠仁はスマホを取り出す。
『脹相、今どこ?』
すぐに返信が来た。
『どうした』
『〇〇が呪いの影響で誰にでもくっつく』
『……何?』
『今俺に抱きついてる』
『…………』
既読がついた。
数秒。
『どこだ』
「……早」
悠仁が思わず笑う。
『〇〇は無事か?』
『無事。でもずっとくっついてる』
『すぐ行く』
「……」
悠仁はスマホをしまった。
「脹相来るって」
「脹相?」
「うん」
彼女の顔がぱっと明るくなる。
「……脹相」
「うん」
「早く来ないかな」
「……」
悠仁は少しだけ複雑な顔をした。
「あいつ、絶対喜ぶだろうな……」
「?」
「なんでもない」
しばらくして。
廊下から足音が聞こえる。
「〇〇!」
脹相が駆け込んできた。
「大丈夫か?」
「……脹相!」
あなたは悠仁から離れる。
そして。
脹相へ一直線に向かう。