第40章 散々なお見合い
「……今日、出かけるのか?」
玄関で靴を履いていると、背後から声がした。
「……うん。ちょっと用事」
振り返ると、脹相がこちらを見ている。
「どこへ行く?」
「えっと……」
一瞬、言葉に詰まった。
「……少し遠くまで」
「そうか」
脹相はそれ以上聞かなかった。
そのことに、ほっとする。
――言えるわけがない。
今日は、お見合いの日だった。
お世話になっている五条さんの家に頼まれて、断り切れずに行くことになった。
もちろん、脹相には言いたくなかった。
自分でも理由は分からない。
ただ。
脹相に「お見合いに行く」と伝えたら。
どんな顔をされるのか。
それを見るのが怖かった。