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①呪術廻戦〜脹相〜

第39章 キスしてたって聞いたんだけど


「なぁ、脹相」

「……なんだ、悠仁」

夕食後、突然悠仁に呼び止められた脹相は、いつも通りの顔で振り返った。

「この間さ」

「……ああ」

「俺、聞いたんだけど」

悠仁はじっと脹相を見る。

「脹相と、〇〇がキスしてたって本当?」

「…………」

脹相が固まった。

隣にいた私は、思わず飲んでいたお茶を吹きそうになった。

「ち、違う!」

「違うの?」

「違うというか……その……」

「脹相は?、否定しないの?」

「……」

脹相は黙ってしまう。

それを見た悠仁が、ますます怪しむ。

「え、ほんとにしたの?」

「してない!」

思わず即答すると、悠仁が目を丸くした。

「じゃあ、なんでそんな噂になってんの?」

「それは……」

私はちらりと脹相を見る。

脹相もこちらを見る。

二人とも、あの日のことを思い出していた。

キスをするふりをして。

触れる寸前で止めたこと。

「……恋人のふりをしてもらったの」

「え?」

悠仁が首を傾げる。

「恋人のふり?」

「うん。ちょっと事情があって、脹相に恋人のふりをお願いしたの」

「へえ……」

悠仁は脹相を見る。

「脹相、恋人のふりしてたんだ?」

「……ああ」

「それでキスしたの?」

「していない」

今度は脹相が即答した。

「……正確には、していない」

「正確には?」

悠仁の目が鋭くなる。

私は慌てて説明する。

「相手に本当に恋人なのか疑われて、それで……『キスくらいできるよね?』って言われて」

「うわ」

「だから、脹相が……」

「脹相が?」

「……キスするふりをしてくれたの」

「へえ」

悠仁がニヤニヤし始める。

「ふりねえ」

「本当にふりだから!」

「でもあいつ、顔赤くない?」

「……」

脹相が黙る。

「ほら!」

「悠仁」

「はい?」

「それ以上は言うな」

「図星じゃん!」

悠仁が笑う。

私は恥ずかしくなって俯いた。

「……でも、本当にキスはしてないよ」

「じゃあ、どこまで近づいたの?」

「……」

答えに詰まる。

脹相も黙った。

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