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①呪術廻戦〜脹相〜

第37章 寸止めの代償


「……」

目を閉じると、鮮明に蘇ってくる。

あと少しだった。

本当に、あと少し。

もしあのまま触れていたら。

「……」

脹相の顔が一気に熱くなる。

「……駄目だ」

自分に言い聞かせる。

あのとき止めたのは正しかった。

〇〇が嫌だったら困る。

恋人のふりを頼まれただけなのだから。

勝手に本気になってはいけない。

そう考えているのに。

「……あの顔は……」

思い出す。

〇〇は嫌そうではなかった。

むしろ。

ほんの一瞬だけ。

もっと近づいてほしそうに見えた。

「…………」

脹相はその場にしゃがみ込んだ。

「……無理だ」

胸を押さえる。

心臓がうるさい。

「……あれが演技だったら、俺はどうすればいい」

もし。

もしあの表情が、演技ではなかったとしたら。

もし〇〇も、自分と同じように意識していたとしたら。

「……」

期待してしまう。

でも、期待するのが怖い。

長い間、大切にしてきた関係だからこそ。

壊したくない。

だから告白しない。

ずっとそう決めていた。

「……なのに」

脹相はソファに座り、深く息を吐く。

「……あんな顔をするな」

誰もいない部屋で、ぽつりと呟く。

もちろんあなたに届くはずもない。

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