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①呪術廻戦〜脹相〜

第37章 寸止めの代償


帰宅してから、脹相はずっと静かだった。

「ただいま」と言って家に入り、靴を脱ぐ。
私はも隣で「疲れたね」と笑いかけた。

「……ああ」

いつもと変わらない返事。

けれど。

脹相の頭の中は、帰宅してからずっと同じ場面を繰り返していた。

――唇が触れる寸前。

あの瞬間。

「…………」

脹相はキッチンで立ち止まった。

思い出してしまった。

〇〇の顔。

驚いたように見開かれた目。

赤く染まった頬。

そして――

ほんの少しだけ、物欲しそうに揺れた瞳。

「……っ」

脹相は慌てて顔を覆った。

「……何を考えているんだ、俺は」

忘れろ。

あれは演技だった。

相手に恋人だと信じさせるため。

ただそれだけだ。

なのに。

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