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【G@lileo】音色の方程式

第9章 『予兆く』




 「…………」


 今度は止まらない。

 先ほどまで、
 あれほど散っていた思考が、
 元に戻っている。


 『今、安心しました?』

 「…………」


 根拠がない。

 実際、彼女はそう言った。

 彼女が自分の表情から、
 何を読み取ったのかは分からない。

 そして、
 自分が感じたものについても、
 検証するには情報が足りない。


 「…………」


 ただ、一つだけ、
 予測と異なることがある。

 火曜日、
 自分は彼女に無理なら来なくていいと言った。

 だから今日、
 彼女が来ない可能性も最初から考慮していた。

 そのはずだった。

 それなのに、
 音が聞こえるまで、
 何度も時計を確認した。
 携帯電話まで見た。

 そして音が聞こえた途端、
 止まっていた思考が元に戻った。


 「…………」


 湯川は窓の外へ、
 一瞬だけ視線を向ける。

 フルートの音が、
 変わらず聞こえている。

 予測できる事象は、扱いやすい。

 原因と条件が分かれば、
 結果を導くことができる。

 だが最近、
 彼女に関することだけは、
 予測と結果が妙に一致しない。


 「…………」


 湯川は再び論文へ視線を戻した。




 「……実に興味深い」




 そして、
 それ以上は。考えなかった。





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