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【G@lileo】音色の方程式

第8章 間章『第三者の観測』後編




 「……そうですか?」

 「うん」


 内海が柔らかく笑う。


 「見てれば分かるよ」

 「…………」

 「湯川先生もね」

 「内海君」

 「はい?」

 「余計なことを言うな」

 「まだ何も言ってませんよ?」

 「言おうとしていただろう」

 「ふふ」

 「…………」


 星宮が湯川を見る。


 「先生も楽しいんですか?」

 「何が?」

 「私と話すの」

 「…………」


 湯川がほんの少しだけ言葉を止める。


 「先生?」

 「嫌なら、これほど話していない」

 「…………」

 「あ」


 星宮が少しだけ笑う。


 「前もそれ言いましたね」

 「事実だからな」

 「そうですか」

 「ああ」

 「…………」


 内海が草薙を見る。
 草薙が、小さく息を吐く。


 「内海」

 「はい」

 「もう何も言うな」

 「無理です」

 「だろうな」

 「何の話だ?」

 「湯川、お前は黙ってろ」

 「意味が分からない」

 「分からなくていい」

 「さっきからそればかりだな」


 星宮がまた笑う。
 研究室にその声が響く。

 それを三人は、
 それぞれの場所から見ていた。


 湯川が、
 彼女の来る時間を知っていること。
 七分の遅れを覚えていること。

 彼女が戻ってくる時刻を、
 無意識に確認していたこと。

 コーヒーに入れる砂糖の数を、
 当たり前のように覚えていること。

 彼女が使うカップまで、
 いつの間にか決まっていること。

 そして、
 彼女が隣にいることを、
 少しも、特別だと思っていないこと。


 観測結果はすでに、
 十分すぎるほど揃っている。

 ただ、
 それが何を意味するのか。


 どうやら観測対象だけが、

 まだ、

 何も気づいていないらしい。




 間章 『第三者の観測』 完





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